SWAN SONG

 一言で表すなら、大震災で心に傷を負った人は絶対にプレイしてはいけないゲームである。


●『CARNIVAL』のシナリオ担当・原画担当が再びタッグを組んだ話題作。クリスマスイブに発生した未曾有の大地震、そこから生じた人々の交流を描く。

●群像劇で、視点が頻繁に変わる。多面的かつ精緻な心理描写は、さすがの瀬戸口廉也シナリオ。ゲームらしからぬ文章も健在。

●立ち絵がなく、膨大な数のCGを画面にカットイン表示するという演出がされている。グラフィック面の力の入れようもかなりのもの。文章のみならず全ての要素が美しく調和している。鬱ゲーと呼べる内容でありながら、やたらにまぶしすぎる作品。

 神の子なんか関係ない。これは、いまはもういない僕の友達がその小さな両手で丹念に一つ一つ組み上げた手あかのついた石のかたまりだ。僕は誇らしくてしかたがない。だから、絶対に立ててやる。そして、このやたらにまぶしすぎる太陽に見せつけてやるんだ。
 僕たちは何があっても決して負けたりはしないって。

●ほぼ全裸の少女が前も隠さず寝転んでいるパッケージ絵は一目でエロゲーと察せられるのに、下卑な印象を全く受けない希有な例。当の少女には濡れ場さえない。そうしたシーン目当てに買った人は、購入時点で負けている。

●バッドエンドを除けば一本道。ノーマルエンドクリア後に、ハッピーエンド(と言えなくもないエンド)の分岐が追加される。蛇足との意見もあれど、後日談として発表された物語がバッドエンドという恐るべき前例よりは救いがあるのも事実。

●あらゆる通信網が断絶してしまい、他地区の被害情報や救助が来るか否かすら不明な状況。極限状態のなか次第に理性を失い、凶行に走る人間たち――。『CARNIVAL』で描かれた狂気よりもリアルな方向性。文章は小説に近いものの、作品全体としてはパニック映画も思わせた。


 ――備考。

●ゲームの発売より五年半と少し経って、東日本大震災が発生。これに近いことが現実になるのではと危惧した。結局どうだったのかはわからない。……報道の目や耳が届かない場所、救援も望めない空間では。

●『CARNIVAL』同様、サウンドはmilktubが携わっている。当然と言うべきか(OVERDRIVEは、milktubボーカル担当のbambooさんが代表を務めている)『キラ☆キラ』も。

 ピアノさえ上手に弾けたなら、僕は無敵なんだ。何もかもうまくゆく。泣いている柚香にも、あのピアノを聴かせてあげたい。可哀想な柚香のために、最高のピアノを弾いてあげたい。なんだって、ここにはピアノがないんだろう? ピアノさえあれば、どんなに辛い気持ちも吹き飛ばしてやることが出来るのに。他のものは何にも要らないから、僕はピアノがほしい。そうすれば、誰だって心から笑わせてあげられる。いま僕はとても良い気分だ。こう言うときは、最高の演奏が出来るって知ってるんだ。最高の演奏って言うのは、心のなかにしかないはずの美しいものがたくさん外にあふれ出て、そこらじゅうの何もかもを輝かせて、それは本当に、最高で、とんでもなく素晴らしいものなんだ。
 でもここにはピアノがない。

 この独白が『キラ☆キラ』と重なった。瀬戸口さんがゲーム業界を離れるとき、bambooさんが残念がっていたのが印象深い。

●Le.Chocolatより発売されたタイトルでは最も知名度が高いと思われる。他作品が有名でないだけとも言えるか……。自分も本作しかやっていない。されど『CANDY GIRL』には少し興味が。ある意味『SWAN SONG』を凌駕する狂気に満ちた怪作。等身大ドール(実写)がヒロイン……!

●廉価版がリリースされたことで、しばらく続いたプレミア価格より脱却。こちらは修正パッチが適用済み。今なら「月刊メガストア」の2013年3月号(付録として完全収録されている)の購入を推奨。


 推奨度――S。


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わたげor火山

Author:わたげor火山
多忙で放置しがちになってしまったブログです。久々にエロゲーやりたい。

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